重加算税の賦課要件を徹底解説!「知りません」「わかりません」で言い逃れは可能なのか?

税務調査

 フリーランス、副業サラリーマンなどの個人事業主にとって、税務調査はいつの時代も恐怖の対象だよね。

 特に、最近は国税庁もインターネット取引の把握やAIによる調査対象者選定にとても力を入れていて、適正申告に自信がない人たちは戦々恐々としてるんじゃないかな?

 そして、税務調査といえば、皆の一番の関心事はズバリ追徴課税…つまり加算税についてだよね!

 今回はそんな加算税の中でも最も重いとされている重加算税の深掘り記事だよ!

 

 重加算税の賦課基準などについて、条文や国税庁の事務運営指針などを確認しながら一緒に勉強していこう!

 加算税って何?って人はこちらの記事を、重加算税って何?って人はこちらの記事を参考にしてね!

 ※今回は短期累犯加重についての説明は割愛するよ!別記事で解説予定!

重加算税の概要についてのおさらい

 まずは重加算税が何かってことについて簡単におさらいしよう。

 重加算税は過少申告加算税や無申告加算税などに代えて課される、加算税の中でも一番重たい処分だよ。

 制度の趣旨としては、適正申告ができていない納税者の内、特に悪質な者に対して、通常の加算税よりも重たい税負担を課すことによって、国税庁が掲げる使命である「納税者の自発的な納税義務の履行」の実現に資することを目的としているんだ。

 簡単に言うと、「悪質な脱税した奴にはめっちゃ税金かけてやるからちゃんと申告しろよ!」っていうメッセージってこと!((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

条文を確認しよう!

 では根拠条文を確認しよう!参照するのは国税通則法第68条。ここには1項だけを抜粋して掲載するから、自分で全文を確認したい人はこちらのリンクを参照してね。

第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書又は第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書(次項において「更正請求書」という。)を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

 ※これは68条1項の引用だけど、2項3項についてはそれぞれ「過少申告加算税」の部分を無申告加算税or不納付加算税に読み替えてね。

 ……何言ってるのかわかんないね!税法って難しい!

 よし、少しずつ分解して見ていこう。

 まず最初の部分から。

前提条件

第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、

 ここはまず前提条件として、重加算税に代えられる加算税の賦課要件を満たしている必要があることを示しているよ。

 つまり、各種加算税の対象か検討する→重加算税になるか検討する ってフローになるわけ。まあここはさらっと流してもらって大丈夫。

 ただ、地味に大事なのがその後の括弧書きの部分。ここでは、更正予知があることが要件として附記されているんだ。

 更正予知についてはまた別記事で詳しく解説する予定だけど、簡単に言うと、「調査で調査官が申告の誤りor申告義務を把握し、それを指摘されていたか」ってこと。

 つまり、「このままだと税務署に更正or決定をされるヤバい!」って状況だったかってこと。

 それに何の意味が?って思うかもしれないけど、更正予知前の自主的な修正申告や期限後申告をすることで加算税の軽減措置が受けられる場合があるんだよね。なので、仮に加算税の賦課対象になったとしても、この軽減措置の対象になる場合は重加算税かかりませんよ!ってことなんだよね。

 これかなり重要で、また後で詳しく説明するけど、重加算税を現実的に回避する1つの方法について示唆されてるんだ。

要件

納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書又は第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書(次項において「更正請求書」という。)を提出していたときは、

 ここが今回の肝となる重加算税の賦課要件について書かれている部分だよ。

 この「隠蔽し、又は仮装しってところが超絶重要ポイント!マーカー引いて!

 これがいわゆる仮装隠蔽ってやつ!

 つまり重加算税が賦課される要件はとてもシンプルで、この仮装隠蔽行為があったのかどうかで判断されるってこと!(例外については後で解説するね。)

 って言われても、「仮装隠蔽って判断される行為って何?そんなの税務署のさじ加減で決められたら堪らないよ。」って思うかもしれないよね。でも大丈夫。具体的にどういう行為が仮装隠蔽行為と評価されるかは、国税庁の事務運営指針に載ってるんだ。

 事務運営指針は条文を読み終わったら確認するから一旦条文の続きを見ていこう!

税率

当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

 ここでは重加算税の税率について書かれているよ。

 過少申告加算税・不納付加算税に代えて課されるものは10%→35%。

 無申告加算税に代えて課されるものは15%→40%になるよ。

 とんでもない税率だけど、これについての解説はいらないよね?

 条文はこれで見終わったから、次は国税庁の事務運営指針を確認していこう!

国税庁の事務運営指針を確認しよう!

 今回は所得税の重加算税の取り扱いについての事務運営指針を確認していこう。

 重加算税については消費税や法人税の指針でも触れられているんだけど、基本的には同じ考え方になっていると考えて大丈夫だよ。

 これについても一部を抜粋して載せるから、全文を確認したい人はこちらのリンクを参照してね。

第1 賦課基準
(隠蔽又は仮装に該当する場合)
1 通則法第68条第1項又は第2項に規定する「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」とは、例えば、次に掲げるような事実(以下「不正事実」という。)がある場合をいう。
なお、隠蔽又は仮装の行為については、特段の事情がない限り、納税者本人が当該行為を行っている場合だけでなく、配偶者又はその他の親族等が当該行為を行っている場合であっても納税者本人が当該行為を行っているものとして取り扱う。

⑴ いわゆる二重帳簿を作成していること。
⑵ ⑴以外の場合で、次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)があること。
① 帳簿、決算書類、契約書、請求書、領収書その他取引に関する書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿 していること。
② 帳簿書類の改ざん、偽造、変造若しくは虚偽記載、相手方との通謀による虚偽若しくは架空の契約書、請求書、領収 書その他取引に関する書類の作成又は帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装を行っていること。

③ 取引先に虚偽の帳簿書類を作成させる等していること。
⑶ 事業の経営、売買、賃貸借、消費貸借、資産の譲渡又はその他の取引(以下「事業の経営又は取引等」という。)につ いて、本人以外の名義又は架空名義で行っていること。
ただし、次の①又は②の場合を除くものとする。
① 配偶者、その他同居親族の名義により事業の経営又は取引等を行っているが、当該名義人が実際の住所地等において 申告等をしているなど、税のほ脱を目的としていないことが明らかな場合
② 本人以外の名義(配偶者、その他同居親族の名義を除く。)で事業の経営又は取引等を行っていることについて正当 な事由がある場合
⑷ 所得の源泉となる資産(株式、不動産等)を本人以外の名義又は架空名義により所有していること。
ただし、⑶の①又は②の場合を除くものとする。
⑸ 秘匿した売上代金等をもって本人以外の名義又は架空名義の預貯金その他の資産を取得していること。
⑹ 居住用財産の買換えその他各種の課税の特例の適用を受けるため、所得控除若しくは税額控除を過大にするため、又は変動・臨時所得の調整課税の利益を受けるため、虚偽の証明書その他の書類を自ら作成し、又は他人をして作成させていること。
⑺ 源泉徴収票、支払調書等(以下「源泉徴収票等」という。)の記載事項を改ざんし、若しくは架空の源泉徴収票等を作 成し、又は他人をして源泉徴収票等に虚偽の記載をさせ、若しくは源泉徴収票等を提出させていないこと。
⑻ 調査等の際の具体的事実についての質問に対し、虚偽の答弁等を行い、又は相手先をして虚偽の答弁等を行わせていること及びその他の事実関係を総合的に判断して、申告時における隠蔽又は仮装が合理的に推認できること。

 ※国税庁のpdfを読み取ってコピペしたので読み取りエラーがあったらゴメンね!

 最初の部分には仮装隠蔽の行為者について言及されてるね。基本的に脱税のための行為って本人が行ってると思うんだけど、中には本人が知らない内に配偶者(記帳担当の専従者だったりする)がやらかしてたってケースもあるんだよね。そういうときに、「悪いことしたのは配偶者だから本人にはペナルティありませーん」ってしちゃうと、もうこれ通謀してやりたい放題じゃない?ってことで、仮装隠蔽の行為者が本人じゃなかったとしても、本人に重加算税かけますよ~ってことになってるんだ。これについては、「じゃあ親族じゃなくて従業員がやってたら?」とか、「税理士がやってたら?」とか他の論点も色々あるんだけど、今回はそこの解説は割愛するよ。要望があれば後日別記事で解説するかも!

(1)の二重帳簿について

 話は指針に戻るけど、(1)はわかりやすいよね。二重帳簿ってのは、表用(申告に使う表向きの帳簿。所得低い)と裏用(真実の帳簿)を作ってるって状況。明らかに故意の脱税だから、一発アウトだね。これがバレた人は素直にごめんなさいしてね。

(2)について

 (2)は「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」って書いてある通り、請求書や領収書なんかを偽造・捏造する・させるといったケースだね。シンプルでわかりやすいんだけど、注目して欲しいのは②の後半の「帳簿書類の意図的な集計違算」ってことろ。これ凄く分かりづらいんだけど、単に「帳簿を間違った内容で作ってました」ってだけだとこれを満たさないケースもあるんだよね。なぜかって言うと、間違った帳簿を作って申告するって行為は、ただの過少申告行為だと捉えることもできるからなんだ。

 「売上げ少なくしたいので、申告書に適当な低い金額記載しました!」…もちろん悪いことなんだけど、これは単純に過少な申告をしたってだけで、重加算税の要件を満たしているとは言いづらいよ。もう少し噛み砕いて説明していくね。

 条文(さっき確認した68条ね)の前提条件と要件を思い出してね。もう一度わかりやすく説明すると、重加算税が賦課されるには、「基となる加算税が存在する(前提条件)+仮装隠蔽行為が存在する」っていう2段階のステップが必要なんだ。

 で、さっき言った「適当な低い金額で申告しました」ってのはこの内前提条件を満たしているだけなんだ。つまり、その行為とは別で仮装隠蔽行為の存在が必要になるってこと。

 そう思うと、重加算税がかかるハードルって結構厳しいなって思わない?でも、「じゃあ適当な過少申告しても重加算税かからないんだ!」って安心するのは早計だよ!なぜかって?それはまた後で詳しく説明するから悶々としながら記事を読み進めてね!(笑)

(3)~(5)について

 (3)~(5)は結構似てる部分で、他人の名義を利用して悪いことしてるケースだね。

 (3)は借名での契約・届出、(4)は借名での資産保有、(5)は借名口座などの利用が主なパターンかな。

 但し書きとして、借名していてもその借名名義人がきちんと申告している場合などはこれに該当しないことが説明されているね。これは単純に申告主体を勘違いしてる人がいたりするから、脱税目的じゃないのが明らかだよねって場合には重加算税かけませんよってこと。

 え?「じゃあ勘違いしてたってことにして、借名した上で借名名義人に申告させて所得分散してやろう!」だって?悪いこと考えるね。

 でも調査が入れば結局所得の帰属は税務署が判断するし、仮に重加算税がかからなくても他の加算税や延滞税はかかってくるから、それしてもあんまり意味ないよ😎

(6)、(7)について

 ここはさらっと流すよ。

 それぞれ譲渡所得の特例や源泉所得税に関連した部分だけど、今回はその辺はあまり触れないから割愛するね。

(8)の虚偽答弁について

 じゃあ最後の(8)を見ていこう。

 これはいわゆる虚偽答弁ってやつで、調査官に対して虚偽の答弁をする・させることだね。

 まあこれもシンプルなんだけど、注意してもらいたいのは後半部分。

及びその他の事実関係を総合的に判断して、申告時における隠蔽又は仮装が合理的に推認できること。

 何が言いたいかっていうと、虚偽答弁をしただけで直ちに重加算税にはならないってこと。

 虚偽答弁(調査時)+行為(申告前)の二段階が必要ってことだよ!

 調査の時に「現金売上ありません!」って嘘ついただけじゃなくて、それに加えて領収書を捨ててたりだとか、パソコンのデータ消してたりだとかっていう行為が必要だと考えられることが多いんだ。

 だからって調査で嘘ついていいってわけじゃないからね!!

ここまでのまとめ

 ここまで条文と指針を確認してきたけどついてこられてるかな?

 一旦ここで今までのところをまとめてみよう。

~条文~

  • 各種加算税の附加対象であること(前提条件)
  • 仮装隠蔽行為が存在すること(要件)

 →じゃあその「仮装隠蔽行為って何?」ってのが事務運営指針に書かれている。

 フワッとしてるけどとりあえずはこんなイメージで大丈夫!

 ここまでが条文通りの基本的な考え方なんだけど、これだけではまだ終わらないんだよね。

 え?他に何があるのかって?それは、判例だよ!

 最高裁判所の判例では、この基本とは別の観点から重加算税の賦課が合法であると示されているものがあるんだ。次はそれを見ていこう!

最高裁平成7年4月28日判決(特段の行動)について

 まず事件の概要をめっちゃフワッと説明するよ。詳しく確認したい人はこちらを参照してね。

 

  • Xさん株でめっちゃ儲かりました。
  • Xさんは借名取引とか資産の隠匿とかはしてません。
  • Xさんは申告を税理士に依頼していました。
  • 税理士「あんた株やってるでしょ?所得出てるなら申告必要だよー」
  • X「いや所得ないから!資料も見せない!」
  • 後日税務署「いや所得めっちゃあるじゃん。重加算税ね。」

 こんな感じ。

 まずはさっきの基本に則って考えてみよう。

 Xさんは株で所得が発生していて、税理士の指摘で申告が必要なのもわかってたけど税理士に資料も見せず、それについての申告をしていなかったんだよね。

 なので、それを修正申告するとなると当然加算税かかってくるよね。つまり、前提条件はOK。

 で次に問題なのが仮装隠蔽行為があったのかってところ。Xさんが「税理士に株の資料を提示しなかった」ってのは、事務運営指針のどれに該当するかな?……あれ?該当するのなくない??

 Xさんは借名取引とかもしてないし、資産の隠匿とかもしてなかったんだよね。つまり、仮装隠蔽行為はなかったってことになる。

 じゃあ「明らかに故意で悪質な脱税でも仮装隠蔽行為がなければ重加算税かからないの?」って声に答えを出したのがこの判決なんだ。一部を抜粋するから一緒に確認しよう。

 したがって、重加算税を課するためには、納税者のした過少申告行為そのものが隠ぺい、仮装に当たるというだけでは足りず、過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要するものである。

 しかし、右の重加算税制度の趣旨にかんがみれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相 当でなく、納税者が、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税の右賦課要件が満たされるものと解すべきである。

 上の段落はさっきのおさらいだね。過少申告行為+仮装隠蔽行為が必要だよってやつ。

 で、注目すべきはその次の段落。何を言ってるのかっていうと、「過少申告行為+仮装隠蔽行為」が原則だけど、これを満たさない場合でも、「過少申告の意図+外部からもうかがい得る特段の行動+その結果としての過少申告」ってパターンでも重加算税かけていいよ!ってこと!

 なんじゃそりゃ!?って思うよね。

 でもよく考えてみると、「指針に載ってる仮装隠蔽行為以外には重加算税かけませんよ~」ってしちゃうと、これに該当しない方法で脱税を目論む人たちが絶対続出するよね。そういうのを防ぐ意味では、この考え方は妥当だと私は思うな。

 話を戻すと、今回の事件でXさんがやったことは、「税理士に株式譲渡の所得があることを隠して、資料も提示しなかった」だよね。さっきも説明したけど、これは仮装隠蔽行為に該当しないから、条文通りに判断すると重加算税は賦課されないことになる。でも、裁判所は重加算税制度の趣旨を踏まえて、「仮装隠蔽行為」がなくても、「過少申告の意図」と「外部からうかがい得る特段の行動」があれば重加算税の賦課は相当だと判断したんだ。

「外部からうかがい得る特段の行動」って何?

 仮装隠蔽行為がなくても特段の行動ってのがあれば重加算税になる可能性があるってところまでは理解してもらえたかな?

 次に皆が思うことは、「じゃあ特段の行動ってなんなのさ」だよね。

 結論から言うと、特に決まってません!

 そんないい加減な…って思うかもしれないけど、本当にこれについては決められてないんだよね。

 でも考えてみたらそれもそのはずじゃない?さっき仮装隠蔽行為以外重加算税なし!ってなったら脱税犯続出するって言ったけど、それと同じ。特段の行動はコレコレでーす!って限定しちゃったら、皆それを掻い潜ろうとするよね。

 まあでも一応の解釈としては、重加算税っていう重たいペナルティが関わることだから、仮装隠蔽行為に類するものであることと考えられるんじゃないかな。 

 結局のところ、重加算税を回避されすぎると制度の趣旨に反するけど、賦課しやすすぎてもダメっていう難しいバランスの上で成り立ってるから、事案ごとの勘案になりがちだね。

 代表的なものでいえば、判例にも出てきた帳簿書類の不提示だとかかな。

仮装隠蔽行為に故意は必要なのか

 最高裁平成7年4月28日判決と条文を見比べてみて何か気がつくことはないかな?もう一度要件を比較してみよう。

  • 条文:過少申告行為+仮装隠蔽行為
  • 判例:過少申告の意図+特段の行動+過少申告行為

 …わかるかな?

 そう、判例の方が要件1つ多いよね。それは、過少申告の意図の部分。

 ここ結構重要だと思わない?判例に即して考える場合、過少申告の意図があったってことを税務署は立証しないといけないんだ。そのために色々証拠集めたり応答記録書作ったりするんだけど、今はそれについては置いておくよ。

 問題は、条文通りの要件で重加算税がかかるかを判断する場合に、その過少申告が意図的であったかどうかが問われるのか否かってこと。 

 皆はどう思うかな?判例で過少申告の意図が要件として示されているってことは、逆説的に示されていない条文だと要件にならないと思う?

 結論から言うと、過少申告の意図は不要だとされているよ。ただし、仮装隠蔽行為が意図的であることは必要だと言われているんだ。 

 どういうことかって?

 まず過少申告の意図だけど、これは色んな判例とかで示されていて、不要と考えるのが主流なんだ。仮装隠蔽の結果、過少申告になっていれば足りるということだね。

 例えば、借金が沢山あって取り立てに怯えている人がいるとするよね。その人は口座の差し押さえが怖いから、自分名義の口座と親戚の借名口座を使って取引をしてるとしよう。で、その借名口座の分は申告してませんでした。理由は本当に申告し忘れてただけです。

 さてこの人は重加算税の対象になるかな? 

 答えはYES。乱暴な言い方をしてしまえば、借名口座を使った理由や過少申告になった理由はどうでもいいんだ。重要なのは、仮装隠蔽行為があったかどうかだけ。指針の(5)だね。

 そしてこの仮装隠蔽行為は(目的はさておき)意図的に行っているので、そちらの面でもOKとなるよ。

仮装隠蔽行為・特段の行動の時期とは

 重加算税の賦課に仮装隠蔽行為or特段の行動が必要だってのはわかったね。

 じゃあ次は、これらの行為はどのタイミングで行われたものでもいいのか、考えてみよう。

 例えば、帳簿書類を破棄した上で過少申告をした人がいるとするよ(ここでは帳簿書類の破棄=仮装隠蔽行為だとして考えてね。)。

 この帳簿書類の破棄が行われた時期が、以下のそれぞれであるパターンを考えてみよう。

 ① 申告前

 ② 申告後調査通知前

 ③ 調査通知後

 さて、この中で重加算税の賦課対象になり得るのはどのパターンかな?

 答えは…①だけ!

 理由を見ていこう。

 条文を思い出してもらいたいんだけど、、

納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書又は第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書(次項において「更正請求書」という。)を提出していたとき

 そう、仮装隠蔽→これに基づき申告したときだから、仮装隠蔽行為は申告前に存在してないといけないんだ。

 つまり、現金売上申告してませんでした→調査通知来た→ヤバい領収書捨てなきゃ!ってなった場合、領収書を捨てた行為は仮装隠蔽行為としては扱われないってことになるね。

 まあだからといって、集計違算や特段の行動で結局重加算税かけられる可能性もあるし、にわか知識で調査官の人に「これ仮装隠蔽じゃないっすよね(笑)」みたいなこと言うのはやめとこうね。

過少申告の意図とは-すっとぼけて誤魔化せる?

 判例基準で重加算税ぎ賦課される場合、特段の行動以外にも要件があったよね。

 そう、過少申告の意図だね。

 これは読んで字のごとしなんだけど、「過少申告してやるぞ!」って意図があったかどうかということ。

 でも過少申告は事実として認定できても、それが意図的だったかどうかは内心の問題だから証拠とかってないよね。

 じゃあどうするのかっていうと、一番オーソドックスなのは、調査官が申告者とのやり取りを記録に残す方法だよ。

 調査でどういうやり取りがあったのかってのを記録するための書類はいくつかあるんだけど、皆が見る可能性があるのは「質問応答記録書」ってやつかな。

 作成の流れとしてはこんな感じ。 

 ① 調査する 

 ② 調査官が内容を紙にまとめる

 ③ 内容を一緒に確認して、訂正などがあれば修正する

 ④ 調査受けてる人が署名する

 ④の署名は断ることもできるんだけど、内容が事実だと自分も認めているなら素直に署名した方が調査がスムーズに進むかもね。

 この書類の中でよくありがちなのが、調査官が調査対象者に「なぜ過少な申告をしたのですか?」って尋ねるシーン。ここで、「税金少なくしたかったのでやりました!」って答えると、過少申告の意図ありと見なされちゃうかも。

 ここで皆が気になるのは、すっとぼけて意図を誤魔化せるかってことと、署名しなければ切り抜けられるのかってことだよね(笑)

 まず1つめの意図の誤魔化しだけど、前提として本当にミスや偶然で過少申告になっているのであればそれを真実のまま主張すれば大丈夫だよ。

 で、問題は「本当は意図的だったけど調査で嘘ついてる」パターンだよね。この場合、調査官にはある程度本心が見抜かれてると思った方が良くて、あの手この手で意図的な過少申告でしたって言質をとろうとしてくるよ。じゃあこれに屈せず、「知りません」「わざとじゃないんです」って言い張り続けたらどうなるか。とりあえずその場では調査対象者の言い分の通りの書類が作られることになるよ。

 でもそれで安心かって言われるとそうじゃなくて、過少申告の意図があったかどうかってのは結局その他の材料も総合勘案して判断されるから、状況証拠が揃っている場合には書類上だけで誤魔化せても無駄なケースもあるんだ。

 質問応答記録書や調査対象者の答弁はあくまで判断材料の1つであって、それだけでは全て決まらないんだよね。

 だから、もう1つの署名しないってのもあまり有効な戦術とは言えないかもしれないね。「署名しません!」って言うと、多分「なぜ署名しないのか」を聞かれて、「コレコレこういう理由で本人は署名しませんでした」って書かれた質問応答記録書になると思うんだ。もちろん署名がないぶん証拠能力は下がるけど、書類事態をなしにできるわけじゃないんだよね。 

 しかも、署名を断る理由によっては調査官に不信感を抱かれて、その後の調査が余計に厳しくなる可能性もあるよ。

 でも1つ気をつけて欲しいのは、だからといって調査官の言いなりに署名する必要はないってこと。書いてある内容に間違いがあれば訂正を要求できるし、最後に自由な発言を付け加えることもできるんだ。 

 だから、その場できちんと調査官と内容を確認しあって、納得できる内容で作ってもらうってことが一番大事なんだ。

 ということで、結論としては「書類上は誤魔化せるしやるのも自由だけど、それで重加算税がかからなくなるかというとそういうわけではない。」ということになるね。

まとめ

 今回の記事をまとめると…

  • 重加算税の根拠条文は国税通則法68条
  • 条文には各種加算税の対象であること+仮装隠蔽行為があることが、重加算税賦課の要件として書かれている。
  • 仮装隠蔽行為の具体例は国税庁の事務運営指針に書かれている
  • 仮装隠蔽行為がなかったとしても、過少申告の意図+特段の行動で重加算税が賦課される余地がある
  • 仮装隠蔽行為や特段の行動は申告前に行われている必要がある

 こんな感じかな!

最後に

 皆今回の記事どうだったかな?

 かなり深い内容まで踏み込んだから、何回か読み直して理解を深めてね。

 ただ、説明を省略したところやまだ触れていない論点もあるから、解説が欲しい部分があれば気軽にコメントしてね。

 ※本記事は重加算税に関する一般的な制度内容を解説したものです。実際の税務判断は個別事情によって異なり、事案によって結論が変わる場合があります。実務上の判断や税務調査への対応については、税理士または所轄税務署へ確認することをおすすめするよ!

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